■一つ目の恋③
田神さんの転勤が日に日に迫っていた。
仕事は引継ぎ期間に入り、
私は以前より、田神さんと一緒にすごす時間が増えた。
田神さんは、相変わらず優しくしてくれた。
もちろん、彼が、私に、個人的な感情などないことは、知っていた。
喜ばしい反面、離れたくない…という思いがあふれていった。
私の一喜一憂している様子を心配して、山田さんが、仕事帰りに私をお茶に誘ってくれた。
その頃の私は、同性では、一番彼女に心を許していたし、信頼していた。
私は正直に田神さんへの気持ちを相談した。
私にも、田神さんにも、家があり、どうしたいという訳ではない事、
ただ離れたくないと、寂しい気持ちを打ち明けた。
山田さんは、私に、『今の気持ちを、素直に話してみたら?』と言ってくれた。
『このまま、モヤモヤするより、たとえ、駄目になっても、スッキリすると思うよ』とアドバイスをくれた。
私の気持ちはますます告白の方向へむかっていった…。
※読んでいただき、ありがとうございました。