■妻として、母として…②
主人は、大工さんだった。
主人の父も大工さんだったんだ。
九州男児で、職人…。
響きは良いが、相当の亭主関白は予想できると思われる。
主人の父は…
お酒を飲むと暴れる人だった。
私の実家は、父が私の物心つく前に、お酒を辞め、酒乱なんて縁がなかった事もあり…。
結婚して…
一年後から主人の実家に同居することになってから、はじめて目の当たりにすることとなった。
主人の家は…
夕飯では、みな酒を飲む、タバコを吸う…が日常だった。
それは、産まれたばかりの子供が膝の上にいても同じだった。
私は…
それが一番嫌いだった。
同じ女性の義母でさえ、孫を抱いたままタバコを吸っていた。
主人の父は…。
酒が進み、どこかでスイッチが入ると暴れ出す。
けして、嫁の私や孫である子供には手を出さないけれど、
義母や、息子である主人には手を出す、テーブルをひっくり返す、包丁で追いかけ回す…
そんな姿を時々見かける度に、子供を連れて部屋へ隠れた。
早く騒動がおさまり、寝てくれる事を願った。
酒を飲んで暴れた翌日、決まって義父は大人しかった。
罪の意識なんだろうか、二日酔いからだろうか、
そんななら、酒なんか飲まなきゃ良いのに…。
私はいつも思っていた。
義父も悪いひとではなかった。
孫を連れて遊びに行くし、私の実家の外壁を修理したり、ごはんを作ったり…。
随分あとで知ることとなるが、義母よりも、私を大事にしてくれた。
※読んでいただき、ありがとうございます。