昼顔妻の七転び八起き

昼顔生活🌺5475日間

■一つ目の恋④

その日、私は、田神さんから、引継ぎを受けていた。

もうすぐ約束の3週間後がやってくる…。

私は思い切って、田神さんに話しかけた。

『今日、お話したい事があるので、夕方🌆時間をとってもらえますか?』




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夕方、田神さんに声をかけられた。

『今、大丈夫?』

私は、緊張しながら、後ろをついて歩いた。

事務所から少し離れた駐車場で、田神さんは立ち止まった。

『お話したい事があったんだよね?仕事のこと?』

そう問いかけてくれた田神さん。

「仕事は…悩みがたくさんだけど。
田神さんが転勤しないでくれたら解決します。」

私は、そう口火を切った。

『それは無理だなあ…』と困ったように苦笑い。

『他に何かあったんじゃないの?俺で良ければ、聞くよ。』

私は覚悟を決めた。

私は…。

「この会社に入って、田神さんと一緒に仕事をしたこと、今までにない感情を持ってること、
私にも田神さんにも家があり、迷惑をかけたいわけではないこと、転勤で離れてしまうのが、とても寂しいこと…」

思っていることを、全て言葉にした。

ゆっくり、ゆっくり…。

時折、微笑みながら、、困った様な顔をしながら、でも、きちんと最後まで話を聞いてくれた。

それから、田神さんは…
ゆっくり口を開いた。

『ありがとう。気持ちは何となくわかっていたんだ。

俺は、昔から、こんな人間だから、うまくいえないけど、一緒に仕事していて、とても楽しかったよ。
仕事を教えてても、素直に一生懸命やってる姿をみてきたから、誰よりも安心できた。

だけど…。俺は家族が好きなんだ!
昔から、家族に憧れてて、今の家族を大事にしたいんだ。

あなたが好きとか嫌いとかじゃない。
家族を壊したくないんだ。わかってくれる?
気持ちは嬉しかったよ。』

そう言って、頭を、ポンポンしてくれた。

「はい」

そう返事すると、田神さんは、また頭をポンポンしてくれた。




※読んでいただき、ありがとうございました。

■一つ目の恋③

田神さんの転勤が日に日に迫っていた。

仕事は引継ぎ期間に入り、
私は以前より、田神さんと一緒にすごす時間が増えた。


田神さんは、相変わらず優しくしてくれた。
もちろん、彼が、私に、個人的な感情などないことは、知っていた。


喜ばしい反面、離れたくない…という思いがあふれていった。

私の一喜一憂している様子を心配して、山田さんが、仕事帰りに私をお茶に誘ってくれた。

その頃の私は、同性では、一番彼女に心を許していたし、信頼していた。

私は正直に田神さんへの気持ちを相談した。
私にも、田神さんにも、家があり、どうしたいという訳ではない事、

ただ離れたくないと、寂しい気持ちを打ち明けた。

山田さんは、私に、『今の気持ちを、素直に話してみたら?』と言ってくれた。

『このまま、モヤモヤするより、たとえ、駄目になっても、スッキリすると思うよ』とアドバイスをくれた。

私の気持ちはますます告白の方向へむかっていった…。


※読んでいただき、ありがとうございました。



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■会社での友達

事務所には、女性が4人いた。
私より2つ上の頼りがいのある主婦、大卒で、独身で二十歳の人、高校でたばかりの若い女の子、そして私。

自然と若い二人、私ともう一人の主婦、何かあることに相談したり、ぐちをこぼしたりする間柄になっていった。


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それまでの私は…
家事、育児、仕事をこなすことに一生懸命で、自分が息を抜く方法なんて知らなかった。

そんな私に、うまく主婦を、こなしながら、息抜きをする方法を、おしえてくれたのが彼女(山田さん:仮称)だった…。

なんてないことかもしれない。
山田さんは、自分がお休みの日でも、ご主人には休みと告げず、きちんと制服をきて時間通りに家をでて、どこかで私服に着替え…
そこから、日帰り温泉やお買い物に。

いつも通りの仕事の帰宅時間には、また制服に着替え、うちに帰る。

そんな高校生みたいなやり方で、忙しい主婦業の傍ら、自分時間を作っていた。

はじめは、私も抵抗があったけれど、そうやって時間をうまく使い、温泉へリフレッシュするだけで、また帰宅後、家事や育児に頑張れた。

山田さんとの出会いも、私を変えた出来事だったのかもしれない…

私の毎日は家と会社の往復だけじゃないと思い始めたのがその頃だった…。


※読んでいただき、ありがとうございました。

■一つ目の恋②

そんな生活が一年程続いたころ…。

突然、田神さんが、転勤する事になってしまった。

とても近距離ではあったけれど、別の事業所の立ち上げに呼ばれたのだ。

私にとって、その時点で、会社に行くことは、田神さんに会いに行くこと…が、目的の半分を占めていた。

転勤を、聞いたとき、私は目の前が真っ暗になり…

もうこんな楽しい時間をすごすことも、一緒に仕事をすることもできないのかと悲しくなった。

転勤の日付けは3週間後。

田神さんが、私に、一緒に仕事できなくなるのは寂しいと言ってくれた。

私は、家庭を壊すつもりなど毛頭なかったが、自分の今の気持ちを、田神さんに伝えたい…
そう考えるようになっていった。



※読んでいただき、ありがとうございました。




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■一つ目の恋①

その職場では、初めての事務職だった…

過去には、販売、接客の仕事をしていたため、そんなにパソコンにさわる事もなく、ワード?エクセル?…
使った事もなかった私。

事務所の仕事は、ほぼパソコン💻

スポットの商品管理を任された私にとっては、試行錯誤の毎日が続きました。


そんな時、優しくパソコンを教えてくれたり、仕事の相談に乗ってくれるようになったのが、同じ商品管理の田神さん(仮称)。

田神さんは、中部地方から、転勤で家族で赴任してきていました。

もちろん、妻帯者。彼は私より5歳位年上だったかな…。

当時、仕事のペアを組んでいた私は、事あるごとに二人で作業する時間があり、
色んな事を教えてくれた。

元々、年上好きな私にとって、一緒に仕事できる時間はとても居心地が良かった。

責任者の斎藤さん(仮称)の仕事に対するいい加減さが、大嫌いで、納得いかないと、何度も相談したものだ。

そのたび、私の話しを、きいてくれ、時には、責任者に掛け合ってくれた。

同じ考え方をもち、何にでも正面から向かってくれる、
きちんと納得いくまで相談室に乗ってくれた。

ますます惹かれていったのを覚えている。



その頃、いま、思えば、仕事に対する尊敬から、自分の中で段々気持ちが大きくなっていったんだったなあ…

中部地方の独特な話し方が、新鮮で、親近感持てて好きだった。
 
※読んでいただき、ありがとうございました。

■職場環境

事務所は、新規立ち上げと言うことで、本社からの教育のための応援メンバーが大勢、入れ替わり立ち代わりやってきていた。

最初の三ヶ月は、仕事を覚えるので精一杯で、あっという間に時も過ぎて行った。

朝、家族を仕事や学校へ送り出し、掃除、洗濯を済ませ、自分も仕事へ。

夕方🌆は、子供のお迎え、習い事、夕飯の支度など、どこにでもいるような主婦の毎日だった…。

仕事だから、特に楽しいと思うことも、うちにいたくないと思うこともなく…
毎日が平凡だったのだ。

そんな日々を続け、歳を重ねていくのだと思っていた。



※読んでいただき、ありがとうございました。

■パートの面接

面接先は、義理の母親に勧められた物流センター、
新規の立ち上がりで、大量採用をするから、行ってみたら?といわれた先だった。

面接官は3人。
後に、昼顔相手となる責任者(斎藤さん)は、翌週の赴任と言うことで不在だった。

九州の片田舎で、新規立ち上がりともなれば、地元の主婦が、こぞって面接に、やってきた。
私もそんな中の一人だった。

義理の母親も同様の仕事内容をしてて、面接の際に其の話をすると、即、採用決定した。


一週間後、勤務初日。

私と同じ新規採用は30人ほど…。
大勢の人のなか、とても緊張した事を覚えている。

私は、工場内作業で採用されたが、先方の都合で
事務職へと転換となった。

それを告げられたとき、ラッキーだと思った。

全体顔合わせで、集合がかかり、センター長と呼ばれる彼(斎藤さん∷仮称)が前に立った。

東京から赴任したという斎藤さん(仮称)は、センター長と呼ばれる事に慣れてて、偉そうにしていた。
都会風を吹かせ、嫌な感じ…。
初の挨拶では、がんばっていこーとかそんな事ではなく…

『自分は、順調に立ち上がれば、すぐに東京へ帰るから。』



こんな田舎には、長居するつもりはない。

そう聞こえた。




『なんだ、コイツ!!
馬鹿じゃないの!?


私が彼に感じた第一印象だった。







※読んでいただき、ありがとうございました。